下請工事主体でも可能!元請建設会社向け営業で自社の強みを活かす方法

中小建設業専門の経営コンサルタント長野研一です。年頭にご案内いたしました通り、今月から、毎月第三週は、建設会社の営業をテーマに綴っていきます。

はじめに

「下請工事が中心の経営スタイルでは、自社の強みを生かしにくい」と考えていませんか?たしかに直接施主を獲得する直請スタイルのほうが、その会社の隠れた強みを生かした切れ味のいい積極戦略を導出やすいのは事実です。しかし、元請様からの受注を前提とするスタイルでも、自社の得意分野を伸ばし、増やす方向での営業活動ができないわけではありません。

本記事では、下請工事主体の建設会社が元請建設会社に向けた営業活動を通じて、自社の強みを最大限に発揮するための具体的なアプローチをご紹介します。

名刺を置いていくだけでは営業にならない

元請会社や県の土木事務所や振興局、市役所の建設課に名刺を持っていく営業は、もはや通用しません。担当者の机に名刺を置いていくスタイルも時代遅れと言わざるを得ません。それだけでは「相手に知ってもらう」という営業活動の本質に近づけないからです。

公共工事の情報探索範囲を広げる

土木建築関連予算を握るのは建設関連部課だけではありません。公園緑地、まちづくり、上下水道、消防、農林漁業、教育委員会といったセクションも大きなプロジェクトを進めることがあります。これらのセクションに顔を出し、担当者と信頼関係を構築することが重要です。

官公庁の都市計画、開発許可、建築確認関連のセクションは、事前協議段階から早期に情報が集まる場です。これらの窓口を定期的に訪問し、情報を収集することで、競合他社に先んじて営業テーマの把握が可能になります。

元請会社に「刺さる」提案をつくる

「脱下請」を掲げて一般家庭などの施主獲得に舵を切る建設会社もありますが、それには大きな覚悟と時間が必要です。この点、元請会社向けの営業活動を通じて自社の得意分野を伸ばし、増やす方向での取り組みは、そこまでドラスティックな方向転換を必要とせず、元請会社との関係性を維持強化しつつ、目先の受注獲得とも両立可能なメリットがあります。

得意分野を活かした提案

収益力アップの基本は、自社の得意分野の工事中心の受注構造にすることです。例えば、以下のような提案が考えられます。

  • 職人不足への対応:職人不足で入札参加を見合わせているA級の元請会社に対し、「この分野の工事を管理込みで任せてもらえませんか」と提案する。

不況期には、職人を抱えずに工務の担当者だけを抱えて現場では下請を使うスタイルが有利であったかもしれませんが、人材不足の今日では、職人が確保できないことが原因で入札参加あるいは受注を断念するケースも目立ってきました。

もちろん、この提案をどこに持っていくかは、従前からの会社やそのキーマンとの関係性、その会社の方向性やお悩みごとに係る情報収集と分析の結果慎重に決めるべきことです。この提案が、課題解決になるような相手に持って行ってこそ、成果が上がるというものです。

相手に知ってもらう努力

公共工事でも民間工事でも、「知らない人に仕事を頼むことはない」という事実を忘れてはいけません。以下のような活動を通じて、元請会社に自社を知ってもらうことが必要です。

  • 定期訪問:頻繁に顔を出して関係性を維持。

  • 成果報告:過去の工事実績や現在の現場体制、成功事例を伝える。

  • 情報提供:技術革新や市場動向に関する情報を共有する。

営業活動のファクトを集める

元請会社への提案力を高めるためには、相手のニーズや課題を深掘りする必要があります。

ファクトベースの提案

元請会社の社長や担当者が抱える課題や目指す方向性を聞き出し、それに基づいた提案を行いましょう。

例えば、攻略目標先の元請会社に対して、以下のような視点で情報を集めます。

  • 現在の下請業者構成:将来的に変化が予想されるかどうか。

  • 経営上の課題:職人不足や現場監督不足など。

  • 事業構想:これから関与することとなる大型プロジェクトなど。

これらの情報を元に、「これをやるべきではないですか?なぜなら…」と具体的な提案を行い、いわば「相手を揺さぶり動かす」役割が営業には求められます。

行動指標(KPI)の設定

細分化した行動指標としてのKPIで営業活動を振り返ると問題発見や課題に対する対策の効果が検証できます。

たとえば、「攻略目標先A社への営業活動に注力する」という行動計画を事後にどう振り返れるでしょうか。「まあまあだった」とか「一応訪問できました」とでも総括するのでしょうか。

しかし、「一週間に10社を訪問する。うち3社は新規訪問先とする」ならばどうでしょう。「訪問は8社、うち新規先は3社でした」とか「10社クリアしましたが、新規先訪問は2社だけでした」とより総括はきわめて具体的なものになります。

この振り返りができてはじめて、8社しか訪問できなかった理由は何だろう?新規訪問先を増やすネックになっているのは何か?という議論が生まれ、対策につながり得るのです。

 

おわりに

下請工事主体の経営でも、元請建設会社向けの営業活動を通じて自社の強みを活かすことは可能です。相手を知り、課題解決に向けた提案を行い、信頼関係を築くことで、より多くのプロジェクトで活躍できるようになります。なによりそれは近い将来、一層強化された自社の強みを生かした「次の一手」につながるという点が重要です。

営業活動は「知られること」から始まります。本記事を参考に、ぜひ積極的な営業活動を実践してください。お望みとあらば、私が御社の営業活動の作戦参謀としてはせ参じますよ(これも営業提案です)。