資格ではなく、人を選ぶ理由
先日、ある方とお話をする機会がありました。その方が手掛けているお仕事について伺ったのですが、話の内容は主にその方が保有する国家資格がどれだけ意義あるものであるかということに終始していました。もちろん、資格が必要な仕事があることは事実です。しかし、私はこう問いかけたくなりました。「お客様があなたを選ぶ理由は、本当にその資格があるからなのでしょうか?」と。
多くのお客様は、保有資格ではなく、もっと本質的なものを求めています。それは「自分の悩みを解決してくれる存在かどうか」という点です。資格や肩書きだけでは、その人が自分の抱えている問題にどのように対応してくれるのかは見えてこないのです。
経営者が誰に相談すべきか、どのような人を参謀役と頼むべきかを判断するのは難しいことです。きっと、以下のような疑問や不安を持たれているに違いありません。
- この人は本当に信頼できるか?どれだけの実績があるのか?
- サポートの内容は具体的にどのようなものなのか?
- この人とは相性が良いか?親切に対応してくれるのか?
こうした疑問や不安は、自分自身の経験に照らしても、ウェブサイトに掲げたプロフィールやサービス案内を見ただけでは必ずしも解消されない気がします。リアルな活動や言動の中にこそあらわれる人柄とか、姿勢といったものがあると思うのです。そこで私はブログという形で自分の考えや取り組みを発信することにしました。これが私がブログを書く大きな理由の一つです。
コンサルティング現場の「空気感」を伝えるために
私がブログを書くもう一つの理由は、コンサルティング現場の「空気感」を伝えるためです。経営コンサルタントとしての活動は、ただ理論を語るだけでは成り立ちません。さまざまなお悩みを抱えた経営者様にどのように接しているのか。教科書通りではない問題にどう対峙しているのか。そのプロセスや感覚をブログ読者に(記述可能な範囲で)伝えることが重要だと考えています。
ひとりの経営者としての実践を伝えたい
また、私自身がひとりの経営者として実践を続けていることも、ブログを書く理由の一つです。私はただのアドバイザーではありません。自分自身も会社を経営している立場として、実際にどのような判断をし、どのようなリスクを取っているか、そのリアルな経験を共有することは、ブログ読者にとって大いに参考になると考えています。
「理想論を語るだけではなく、実践している人の言葉」というのは、特に経営者にとって重みを持つものです。経営者が抱える悩みや不安に対して、同じ立場に立つ者として共感しながら、その解決策を一緒に考えられることが、私の強みでもあります。
言語化の力—考えを整理し、伝える
さらに、ブログを書くことで自分の考えを「言語化」すること自体に大きな意義を感じています。私は日々のコンサルティング活動の中で多くの情報やアイディアを得ていますが、それらを整理して他者に伝えるためには、明確な言葉が必要です。
ブログはそのための絶好のツールです。自分の中にある考えや実践を言葉にすることで、私は自分自身の思考を整理し、より深い洞察を得られています。そして、ブログ読者に対しては、私が何を考え、どのように行動しているのかを明確に伝えることができるのです。
自分らしさと共感を大切にする
ブログを書くうえで、私が大切にしているのは「自分らしさ」です。最近では、生成AIの進化によって文章を書く手助けをしてくれるツールが増えました。私自身もそういったツールを日々業務の一環で活用していますが、ブログに関しては少し違う考えを持っています。
AIが生成した文章は、確かに整っていて優等生的ですが、そこに「自分らしさ」や「勢い」が感じられないことが多いと感じます。文章の巧拙はともかく、その「勢い」みたいなものは、読んでくださる方々にどこかしら必ず伝わると信じています。
たとえば、私は他人を「あいつはダメだ」批判するよりも、「自分はこう」と考え、表現することを大切にしたいと思っています。他者がどうこうではなく、私自身がどのようにお客様と対峙し、一緒に問題点を明らかにし、解決に向けて歩んでいくか。それをブログを通じて示すことで、読者にも前向きな考え方や視点を提供したいのです。
誰に頼めば良いのかを知ってもらうために
つまるところ、私がブログを書く理由は、私自身を理解してもらうため、ということになりそうです。冒頭で述べた通り、お客様が誰に頼むべきかを判断する際に、資格や肩書きだけではなく、その人がどのような人であり、どのような考え方を持っているかはきわめて重要な選択基準です。
ブログを通じて私自身がひとりの経営者としてどう実践し、経営コンサルタントとしてどう考え、行動しているかを発信することで、その選択基準を提供したいのです。建設業の経営者にとっては、経営に関する悩みを相談できる相手がいることは、自分の力を何倍にも生かす大きな力になります。そのために、私はブログを通じて、自分が信頼できるパートナーであることを伝えていきたいのです。
これら一連のブログ記事を通して「この人に一度相談してみようか」と思われたなら、どうぞご連絡願います。G・M・ワインバーグの名著『コンサルタントの秘密ー技術アドバイスの人間学』でものべられているように、われわれは「助力を求められない限り人を助けることはできない」(同書第五章「助力への要請の欠如」参照)からです。