はじめに
こんにちは、中小建設業に特化した経営コンサルタントの長野研一です。
経営者として、日々の業務に追われる中で、自分自身や会社の強みを見つけることは難しいかもしれません。しかし、適切な生活習慣を身につけることで、隠れた強みを発見しやすくすることができます。今回は、建設業の経営者向けに、隠れた強みを見つけるための生活習慣についてお話しします。
1 ネガティブな発言を避け、前向きな習慣を身につける
まず、ネガティブな発言を避けることが重要です。批判、文句、罵倒、愚痴、自嘲などのネガティブな発言は、自分自身の成長を阻害するだけでなく、周囲の人々にも悪影響を与えます。
しかも、脳には「否定形を理解できない」という特性があるため、否定形の発言をしてしまうと、その内容や行動を無意識にイメージしてしまいます。広島カープの往年の名選手、高橋慶彦さんがyoutubeでこんなお話をされていました。
現役時代、『江川投手の高めのストレートは捨てろ』とコーチにアドバイスされても、魅入られたように高めに手を出してしまう。自分がコーチになったときも結果は同じ。ところが「今日は低めを狙っていけ」と選手に伝えると高めに手を出さなくなると気づいたというのです。
成功循環モデルという考え方があります。簡単に言うと、関係の質を高めると、思考の質が高まり、それによって行動の質が変わるから、最終的に得られる結果の質が変わる、という考え方です。
それゆえ、よい結果を得たいならば、よい関係性を構築していこう、ということになります。物事を素直にみて、自分や他者の良い点に目を向け、互いに高め合える人間関係の中に身を置いてこそ、成功循環サイクルが回り始めます。
私のある若い友人から、こんな話を聞きました。尊敬する先輩に『人は人によってしか磨かれないからな』と言われ、大いに感じるところのあった彼はそれ以来、それを座右銘にしているというのです。
人は人によってしか磨かれない。本当にその通りだと思います。
私自身、ほんの5、6年前までは、ろくに前向きな行動を起こすこともせずに他人をけなしたり、クサしたりしていたのです。でも、自分のありたい未来の姿を追求しつつ、それに向けて実践を積んでいる人たちの中に身を置くことで、私自身も自分のありたい未来が見えてきて、思考も行動も変わってしまいました。
自分の未来にフォーカスすると、他人をけなしたり、クサしたりする方向に意識が向かないのです。一方で、自分の進むべき道が見えているので、いろいろな情報に惑わされて行動がブレることも本当に少なくなりました。他人をけなす、という非生産的なことに気を取られないので、エネルギーロスが少なく、行動が研ぎすまされる、という面もあると思います。人は人によってしか磨かれない、という言葉は、成功循環サイクルを見事に言い表わした言葉だと思うゆえんです。
2 未来のことを考える
次に、未来のことを考える習慣を身につけましょう。理想の自分、なりたい自分、成し遂げたいことを明確にイメージすることで、目標に向かって進む力が生まれます。
具体的には、毎日の終わりに5分間だけでも、将来の目標について考える時間を作ると良いでしょう。この時間が、日々の業務に追われる中でも、自己成長を促す貴重な瞬間となります。
私自身、毎週月曜日の朝に、先週の振り返りと今週のプランニングを行うことを習慣化しており、これが「未来の理想のために重要不急なことに取り組めているか」を自問する機会になっています。
3 人の良いところを見つける
人と会ったときに「この人のいいところはどこだろう」という内部対話を習慣化することも、強みを見つける手助けになります。
これは、他人の良い面を見つける観察力を養うと同時に、自分自身の強みや改善点を発見するきっかけにもなります。例えば、同僚や部下の長所を見つけることで、自分が持っていないスキルや特性に気づき、それを取り入れることができるでしょう。
4 強みの抽出と分析で大切なこと
強みの抽出や分析は、一人で行うべきではありません。
なぜなら、自己認識には限界がある(他人の視点の手助けがあってこそ見えてくる)という面はもちろんのこと、自問自答というのは質問と応答を全部一人で行うことになるため、思考をめぐらすには負担が大きすぎ、かえって非効率という面もあるからです。
強みの抽出や分析に当たっては、ファクト(事実)の深掘りに集中することが大切です。具体的なエピソードや実績を元に、何が強みなのかを明確にすることが求められます。
前出の「人の良いところを見つける」にも通じることですが、この考え方の根本には、『人は元来完全である(だから自ら答えを見つけられる、解決できる)』という価値観があります。これは、コーチングの基本理念とでもいうべきもので、『人は不完全である(だからアドバイスしなければならない)』というコンサルティングの発想と対極をなすものです。
もちろん、これらコーチング発想、コンサルティング発想は、どちらが正解、不正解というものではなく、局面によって使い分けられるべきものですが、隠れた強みの発掘には、問いかける側がコーチング視点に立てていることがきわめて重要になります。
『強み分析をしてみたが、いい着想が得られなかった』場合は、クライアント側(答える側)よりもコンサルタント側(問いかける側)に問題がある(力量不足や発想の転換不足)ケースがむしろ多いはずです。
5 日々の振り返りを習慣化する
最後に、日々の振り返りを習慣化することが重要です。特に、できなかったことの反省よりも、今日(今週)あった良かったことの振り返りを大切にすることがポイントです。
ポジティブな出来事を振り返ることで、自信がつき、さらなる成長につながります。例えば、毎晩寝る前に、その日にあった良かったことを3つ書き出すといったシンプルな方法で十分です。私自身は、前述の週ごとの振り返りとは別に、『十年一昔』という名の十年日記帳に毎晩その日の気づきを四行で記しています。
6 まとめ
建設業の経営者として、日々の業務に忙殺される中で自分自身の強みを見つけることは難しいかもしれません。しかし、ネガティブな発言を避け、前向きな思考を身につけることや、未来のことを考える習慣を持つことで、隠れた強みを発見することができます。
また、他人の良いところを見つけることで自己成長のきっかけを得たり、ファクトに基づいた強みの抽出や日々のポジティブな振り返りを習慣化することも大切です。
そしてなにより、隠れた強みをみつけるためのパートナーを得ることが先決です。
これらの生活習慣を取り入れることで、建設業の経営者として、より強いリーダーシップを発揮し、会社の成長を促すことができるでしょう。
日々の小さな変化が、いずれ大きな成果を生むことを信じて、ぜひ実践してみてください。