建設業専門の経営コンサルタント長野研一です。
会社がもつ隠れた強みを明らかにすることは、その会社の潜在能力を最大限に活かすために決定的に重要です。私は、お客様と一緒に経営の突破口となる一石二鳥、三鳥の打ち手を編み出すツールとしてSWOT分析を活用しています。SWOT分析は企業や個人が自己分析を行い現状を把握するための有用なツールですが、過去の成功や実績だけでなく、隠れた強みや未だ活用されていない経営資源を見つけることで新たな事業機会も見えてきます。隠れた強みをどれだけ明らかにできるかが打ち手の有効度、魅力度を大きく左右するわけです。ここでは、SWOT分析の入り口で、隠れた強みを効果的に引き出すために私が心掛けているインタビューのポイントをご紹介します。
知ったかぶりをしない
インタビュー前に基礎的な知識や情報を持っていくことが適切な質問を導き、有益なデータを引き出す土台となることは事実です。しかしながら、虚心坦懐に「聞かせていただく」姿勢が大切だと思っています。先入観は自分の目を曇らせるからです。
開かれた質問を行う
隠れた強みを引き出すには、「相手の社長様自身が気づいていないことに気づいていただく」視点が非常に大切になります。「どのようにしてこのプロジェクトは成功しましたか?」や「最も誇りに思う成果は何ですか?」など、具体的かつ開かれた質問を使っています。これにより、経営者は自社の過去の成功体験を思い出し、その中に隠れた強みを見つけやすくなります。
具体的な事例を求める
顧客の声や取引先からのフィードバックを例に挙げて、具体的な事例を引き出します。「特定のクライアントから感謝されたエピソードはありますか?」などの質問は、特定の強みが顧客にどのように影響を与えたかを明らかにする手助けとなります。
質問の表現を柔軟に変える
一つの質問に対して役立つ回答が得られない場合は、質問の言い回しを変えてみます。「使える人脈はありますか?」から「最近会った興味深い人物はいますか?」といった形に変更するなど、視点を変えて質問することがポイントです。
話をじっくり聞く
経営者が話している間は、じっくりと耳を傾け、途中で対策を考えることなく、話された内容を理解しようと努めます。これにより、経営者自身も自社の強みを再認識するきっかけとなり、より多くの情報が引き出されます。途中で対策を考えてしまうのは、いわば「コンサルタントあるある」なのですが、自制するようにしています。
共感を示し、信頼関係を築く
ややもすると、まるで取り調べのようなインタビューをする人がいます。
本人はそんなつもりはないのでしょうが、発散思考でアイデアを広げるべき場面でいちいち発言の根拠を尋ねるのは、ちょっと尋問めいています。インタビューで「なぜ」を繰り返すと、相手の緊張感は高まり、無意識に自分の思いとは違った言い訳やもっともらしい答えを探してくるようになってしまいます。
相手の目を開かせることよりも、コンサルタントとして自分が聞くべきこと、理解すべきことを優先すると、そうなってしまうのかもしれません。すくなくとも対話が温まるまでは、コンサルタントが聞きたいことよりも、社長様が言いたいことを優先して発言を促すほうがよいと思っています。そのためには、経営者の話に共感を示すことを大切にしたいですね。具体的には明るい表情で「ほう!」「いいですね!」といったポジティブな反応を返したいものです。これにより、オープンな雰囲気が生まれ、経営者が心を開いてさらに多くの情報を共有するようになります。これらのポイントを踏まえたインタビューによって、建設業の経営者が持つ隠れた強みを効果的に引き出し、それを言語化して共有することができます。
問いかけの順序の違いが持つ意味
もうお気づきのように、隠れた強みを引き出すインタビューの成否は、質問力のあるなしの差だけではないのです。質問の順序が大切なんです。お客様の考えに鋭く的を射た質問を繰り出すなら、お客様自身が自らの隠れた強みに気づき、視野を広げた後にすべきです。視野を広げる前にそれを訊いても、従前の価値観と認識に基づいた回答が返ってくるだけ。それでは突破口が見つからないからこその隠れた強みインタビューです。そのことを忘れてしまっては何もならないと思うのです。途中で対策を考えてしまうことを自制する理由も、じつはここにあります。